黒部川第四発電所(通称くろよん)「黒部ルート見学会」に行ってきました!

こんにちは、ゆうじんです。

関西電力さんが行っておられる黒部川第四発電所(通称くろよん)の見学会に、うちの子供が応募し、なんと当選しました。とても人気のある見学会で、抽選に当選したのはすごいラッキーでした。

早速、仕事の調整をして家族で行ってきましたが、見学させてもらって、心から感動したので、その感動を多くの人に伝えたく、ご紹介したいと思います。

黒部ダムとは

見学会の様子をお伝えする前に、まずは、その「くろよん」が発電するための水を蓄えている黒部ダムのご紹介から。

黒部ダムは日本を代表するダムの1つで、富山県東部の中部山岳国立公園内3000m級の高山地帯として知られる北アルプスの中央部分に建設されています。

戦後の急速な経済復興の中、関西地方で起こっていた深刻な電力不足をなんとか解消しようと、水力発電に利用する水を確保することを目的に、関西電力さんによって建設されました。

(黒部ダムの基礎データ)
●高さ:186メートル(国内一位)
●堤頂長:492メートル
●総貯水量:約2億立方メートル。これは総貯水量はタンカー約1,000隻分。
●発電量:黒部川第4発電所年間約10億kWh。黒部川全体の年間発電量は約31億kWh。31億kWhは一般家庭約100万戸が1年間に使用する電力量に相当します。
●着工・竣工:1956年着工、1963年竣工

ダムの建設は、戦後復興の最中の1956年に始まり、その建設は世紀の大事業として語り継がれ、中でも破砕帯との格闘は石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」に描かれた事でも有名です。

総工費は建設当時の費用で513億円と、当時の関西電力の資本金の5倍という途方も無い金額です。工事期間7年、作業員は延べ1,000万人を超え、転落や雪崩などによる殉職者も多数でるなど、苦難を極めた末に完成しています。

このダムの水を使って、「くろよん」は発電しています。

黒部ルート見学会とは

黒部ダムは非常に大きなダムで、周辺は名勝・中部山岳国立公園でもあることから、多くの観光客が訪れます。

また、黒部川流域の黒部峡谷は、宇奈月~欅平間を運行する黒部峡谷鉄道(トロッコ列車)が走っており、多くの観光客に親しまれています。

しかし、欅平から先は一般には開放されておらず、上流の黒部ダムに至るための輸送設備(いわゆる、黒部ルート)として、関西電力さんの発電施設の保守・工事用として使用されています。

この黒部ルートは、あくまで保守・工事用のルートなので関西電力さんの関係者以外は通行できません。

しかし、関西電力さんが水力発電事業をPRする社会貢献活動の一環として、黒部ルートの見学会を人数限定で開催しており、それに応募して当選すれば、黒部川第四発電所(くろよん)を見学させてもらうことが可能です。

参加したらこんな感じでした

まず、宇奈月温泉に宿泊し、翌日に見学会という旅程にしました。宇奈月温泉も非常に閑静な温泉街で落ち着けました。

翌日は早速、見学会ですが、欅平に9時20分に集合するため、指定された黒部峡谷鉄道のトロッコ列車に乗ります。目指すは終点の欅平です。

こんな感じのトロッコ列車で、宇奈月~欅平を進みます。朝だったので、黒部川にある各種施設に通勤される方々もおり、工事関係者と思われる皆さんと一緒に乗りました。

途中の黒部峡谷はとても景色がよく、絶景の連続です。

下に流れる清流の黒部川を見ながら、急な峡谷の間を進み、よくこんなところにダムを作ろうと思ったなあと感じます。

絶景の連続で景色に見入ってしまい、写真を撮るのを忘れるという痛恨のミス。でも本当にきれいな景色でした。

終点の欅平まで1時間20分ほどかかりました。一般の方はここで折り返しとなりますが、見学者は、工事用トロッコ列車に乗り、トンネルを走ります。ここからが、許されたものだけが入れる「黒部ルート」となります。

数分すると列車から降り、竪坑エレベータに乗ります。

竪抗エレベーターを下りて、「バッテリートロッコ」に乗り換えます。

これから先に待ち構えるあの「高熱隧道」に耐えられるよう、バッテリートロッコは耐熱仕様になっており、防爆のため動力がバッテリーとなっています。また、腐食に耐えられるようステンレス製の特注車両です。

ちなみに、高熱隧道とは、ダム工事のためにトンネルを掘っていたところ、岩盤温度が160℃を超える温泉地帯とぶつかってしまったというものです。

しかし、ダム完成のためには必要なトンネルであり、当時の作業員の皆さんは高温の過酷な現場で、互いに水をかけあい、トンネルを掘り進めたということです。

当時に比べて、温度は下がったというものの、今も真冬でも約40度になるとのこと。私たちが高熱隧道を通った時も、上記の写真のように、トンネルの中に硫黄がこびりついており、車内も温度が上昇していました。

そして、トンネルを抜け、しばらくして黒部ルートで唯一地上へ出る仙人谷の鉄橋上でしばし、小休憩。とてもきれいな展望で皆さん写真を撮っていました。

バッテリートロッコでの移動はトータルで30分くらいでした。終着までに着くと、そこには見学のハイライト、巨大な地下空間にある黒部川第四発電所(くろよん)が現れます。

この発電所は、厳しい冬の積雪などから設備を守るため、また、国立公園の自然を守るために、地中に建設されているのです。 地表に出ているのは発電した電力を送電するための送電線の取出し口だけです。

上の写真の大きな空間の下に、発電機があり、水力で回るタービンがあります。見学では、水力で回る軸の部分も見せていただきました。ダイナミックです。

黒部川第四発電所の中で昼食を食べさせていただきましたが、いただいたお弁当も麓から運んでいただいたと思います。頭の垂れる思いでいただきました。

食事が終わり、今度はインクラインに乗ります。インクラインとは、傾斜面にレールを敷いた輸送装置のことです。これも工事・保守の資材等を運ぶためのものです。

こんな斜面を、20分かけて800メートル進みます。

インクラインでの移動が終わると、最後はトンネル内を専用バスで移動して、黒部ダムまで移動します。

バスでの移動の途中に、ガイドの方に絶景ポイントに連れていっていただきました。

そう、奥に見えるのが立山連峰の「剱岳」です。標高2999メートル。ため息が出ます。これから一生の中でこんな近いところから、剱岳を見ることは、私は多分ないと思います。。。

再び専用バスに戻って、標高1470mの地下駅黒部ダム駅 に到着し、13時前解散となりました。

約3時間半の見学で、私の感想は、感動と感謝の気持ちでいっぱいでした。黒部峡谷の素晴らしい景観、トンネルを進む間、ガイドの方は丁寧に説明をしていただきました。

こんな奥深い自然の中、こんな過酷な環境で、これほどまで大きな建築物を作るなんて、とてつもない事業だったと思います。社会インフラとしての電力の供給のため、多くの尊い犠牲の上に、できた発電所やダム。そして、それを今もきっちりとメンテナンスされている関西電力さんに脱帽です。

見学させていただき、本当にありがとうございました。

とても人気のある見学会で、倍率は高いようですが、気になった方は、関西電力さんのHPから、ぜひ応募いただき、一度体験してみてください。素晴らしい体験になると思いますよ。

では。