岡嶋二人 著「クラインの壷」現実も真実も崩れ去るバーチャルリアリティの怖さ!

こんにちは、ゆうじんです。

以前、井上夢人さんの小説「魔法使いの弟子たち」を紹介させていただきましたが、今回は、その井上夢人さんと徳山諄一さんが「岡嶋二人」の共同のペンネームで書いておられた時の作品で、私が好きなものをご紹介したいと思います。

それは、こちら「クラインの壷」です。

岡嶋二人とは

岡嶋二人(おかじま ふたり)とは、先ほど述べた通り、井上夢人さんと徳山諄一さんによるコンビのペンネームです。主にミステリや推理小説を多く手がけています。

1982年に「焦茶色のパステル」でデビューし、1989年 の「クラインの壺」を最終作として、コンビを解消しています。

これらの以外にも「99%の誘拐」「あした天気にしておくれ」「チョコレートゲーム」や、ゲームブック「ツァラトゥストラの翼」などの作品を書かれています。

ちなみに、珍しいペンネームですが、その名前の由来は「おかしな二人」とのことです。洒落っ気がありますね。

小説「クラインの壷」とは

「クラインの壺」(クラインのつぼ)は、そんな岡嶋二人名義の最後の小説です。1989年に新潮社より刊行され、現在は講談社文庫より出版されています。

ミステリとSFの要素を融合させ、1989年当時まだ珍しかったバーチャルリアリティをテーマに取り入れた点が斬新で話題になりました。執筆されてから、30年近く経った現在からみても、バーチャルリアリティについての先見性に驚かされます。

(あらすじ)
  200万円で、ゲームブックの原作を謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉彰彦。彰彦の書いた原作は、バーチャルリアリティシステム「クライン2」を使った最新鋭ゲームに採用されたのだ。
 「クライン2」でのゲーム制作に協力するため、彰彦は、美少女・高石梨紗と共にゲームのテストプレイヤーとなるが、、、。
 不世出のミステリー作家・岡嶋二人が描く、恐るべきバーチャルワールド!

私の感想は

私は当時、リアルタイムでこの小説を読みました。この小説が刊行された1989年は、ゲームでいえば、任天堂の初代ゲームボーイが発売された年です。スーパーファミコンでさえ、まだ発売されていませんでした。

このような時代だったので、初めて読んだときは、バーチャルリアリティといっても、私は「いつかこんなことができたら面白いだろうな」という感じであまり身近には感じませんでした。しかし、今読むとほとんど違和感なく、作品内のバーチャルリアリティの設定や世界観を身近に感じることができます。

ネタバレとなるので細かには書きませんが、いわゆる仮想現実(VR)が現実的になりつつある現在、本作のラストについてもより実感がわくようになってきていると思います。とても先見性があると思います。

また、著者のお得意のミステリ要素や、スリリングでスピーディーな展開があり、読み始めるとどんどん引き込まれていきます。読み始めると、一気に読んでしまいます。

ミステリやSFが好きな方にはオススメできると思います。

気になった方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

では。